ごきげんよう
滝と虹
睦月、如月となりますと、空気の冷たさが身にしみる日が続きます。外に出れば頬を刺すような風、水に触れれば思わず手を引っ込めたくなるような、そんな温度です。人はつい、この「冷たさ」を厳しさや不快さとして捉え、ついつい冬という季節をどこか遠ざけたいもののように感じてしまいます。しかし、自然の営みに目を向けてみると、この冷たさもまた、私たちに大切な働きをもたらしてくれていることに気づかされます。
私は、冬の冷たい水で手を洗い、顔を整え、うがいをすると、身体がきゅっと引き締まり、気持ちまで整う感覚を持ちます。眠気や気の緩みが一瞬で消えたり、背筋が自然と伸びたり、夏のぬるい水では味わえない、心身を目覚めさせる力がそこにある様に思うのです。冷たさは決して私たちを拒むことはなく、むしろ、内側の活力を呼び覚ます自然からの静かな励ましなのかもしれません。
古来より、滝に打たれたり、冷水で身を清めたりする行が行われてきたのも、この感覚を大切にしてきた証でしょう。外気の厳しさに身を委ねることで、雑念が洗い流され、心が澄み渡っていく快感の様なものを感じ取っているのかもしれません。自然の力を借りて、自分自身を整えるという日本人の知恵が、そこに息づいているように思います。
寒い朝、少し勇気を出して冷たい水に触れてみるのも良さげで有ります。最初の一瞬の冷たさの向こうにある清々しさは、確かな目覚めを連れて来ます。冬の冷気を「厳しさ」としてではなく、「整える力」として受け止めると、其れ等は人間にとって、人間の為に、違った表情を見せようと必死になるように感じます。
四季の移ろいの中で、それぞれの良さを感じながら暮らすことは大切に思うのです。日々のさりげない小さな喜びを見つけ、感じて暮らすことは心を前向きに保つはずです。冷たさの中にピリッと感を、枯山水の様な大人しさの中に力強さを見いだす――その感性こそが、大和日本の国に息づく、自然とともに生きる、美しい智慧の一つのように感じられます。
かけがえのない惠に感謝しかありません。 2026.2.9 by tayu